ソフトロボティクス入門:ソフトロボット元年

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ロボット新時代の夜明け

ソフトロボティクス(soft robotics)は、やわらかいロボットをあつかう新しい研究分野だ。

「ソフト」はソフトネス(softness:柔軟性)のことで、コンピュータソフトウェアのソフトではない。ロボットの、見てさわれる物質的な部分、ハードウェアをやわらかくする試みである。

やわらかいロボットとわざわざ言うのは、今のロボットがかたいからだ。かたいロボットの代表は、工場で働く産業用ロボットで、すでに世界で約160万台以上が稼働している。

かたいロボットは、自動車や電気製品の工場で活躍しているが、人間にしかできない作業はまだまだ多い。弁当を詰めることも、植木を剪定することも、子どもと遊ぶことも、今のロボットには難しい。できないことが多すぎる。

ロボット研究者は、次のロボティクスについて考えはじめている。未来のロボットはどんなものになるのか?その問いに答えるために、いま試されているのがソフトロボティクスなのである。

液体パウチモーター

Liquid pouch motorは、パウチの中に入っている液体が特定の温度で気化することにより、膨らむ性質をアクチュエータとして応用したものです。

Video

Preparation time: 10 min
Process time: 40 min

材料

  • ナイロンフィルム Nylon-LDPE film (or Alminium-Nylon-LDPE film)
  • 低温気化液体 (3M Novec 7000)
  • 注射器と針
  • 両面テープ
  • コップ
  • アクリルシート (今回は、A4のクリアファイルで使われているPPを使用。動かして見たい好きな形はなんでも良い。例えば、今回は蝶々をデザイン butterfly)

道具

  • 熱シーラー (NL-202J)
  • ハサミ
  • 電気ポット(オプション、お湯のために)

 

手順

切る

作るパウチのサイズに合わせてナイロンフィルムを切ります。今回は蝶々の胴体になるので、蝶々の胴体の長さにパウチの長さを合わせます。5cmほどの幅で切ります。

シーリング(熱で圧着)

シーラーの温度を2.5に合わせます。機械によっては温度設定が変わってくる可能性があるので、事前にテストして見ましょう。パウチの3つの面を止めておきます。残りのフィルムを切り離しましょう。

Novec液を入れる

止めてない面にNovec液を入れます。まずコップにNovec液を入れて、注射器で吸い上げます。パウチの止めてない面から注射器の針を入れて少しだけ入れます。今回のサイズ(5cm x 1cm)の場合、きちんと膨らむために少なくても20μL以上は入れましょう。

シーリング

Novec液を入れたパウチを液がこぼれないように気をつけながら最後の止めたなかった面をシーラーで止める。

膨らませる

コップにお湯を用意する。Novec液の沸点は34度なので、50度ぐらいのお湯で十分。パウチをお湯に近づけて入れてみると、パンパンと膨らむ!

蝶々

アクリルシートを蝶々型に切っておく。胴体が入る部分を切り離して両面テープを貼る。作っておいたパウチを胴体となる部分につける。

羽ばたくアクチュエーター

お湯を入れたコップの上に蝶々を乗せると、蝶々の羽が動きだす。冷ますと羽が元の位置に戻る。温めたり冷ましたりしながら蝶々を羽ばたかせてみよう。

 

Downloadable Data

  • Design of acrylic sheet : Butterfly (pdf)

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食べられる水風船

食べられる水風船を作ってみましょう!

Video

準備時間: 10分
作業時間: 60分

材料

  • 乳酸カルシウム
  • アルギン酸ナトリウム
  • ペットボトル
  • 好きなジュース(今回はマンゴジュース)

道具

  • ボウル
  • 計量カップ
  • おたま
  • 泡たて
  • スプーン

手順

混ぜる


水250 mlをペットボトルに入れ,その中にアルギン酸ナトリウムを1.3 gを溶かします.

振る


ペットボトルに入れて約10分間振ります.目安としては,粉の塊が見えなくなるまでです.

別の溶液を用意


水1 Lに乳酸カルシウム1.3 gを入れ,透明になるまでよくかき混ぜます.

調理準備

ボウルに入れた水,そして今までに作成した二つの溶液を用意します.

水に落とす


アルギン酸ナトリウム水溶液をスプーンに注ぎ,そのまま乳酸カルシウム水溶液に落とします.その後やさしくかき混ぜます.水風船ができてきたら,おたまですくって水の中に入れます.

完成!


食べられる水風船の完成!!

色付きの水風船も作ってみよう!

水の代わりにマンゴージュースを使った例です.ジュース250 mlとアルギン酸ナトリウム1.3 gを混ぜて,10分間振ってください.その後は,水風船の作り方と同じです.

イクラも作ってみよう!

ストローを使えば,イクラみたいな小さなボールも作れます.

 

 

BlowFab インスタントブロー成形

BlowFabは,プラスチックの表面積の膨張を利用した,再利用可能でありながら,硬くもなれる風船です.温めれば柔らかくなり,冷やせば硬くなります.温めてから空気を吹き込むことで,好きな形にしてみましょう!

Video

準備時間: 10 分
作業時間: 45 分

材料

  • プラスチック板 (0.5~1.0mm厚さのPETシート (polyethylene terephthalate) , PVCは使って良いが、レーザーカッターにはchlorine gasが出るので使えなく、カッターで切れば良い)
  • 型紙 (pdf : blowfab)
  • マスキングテープ(厚さ0.083mm)
  • 両面テープ

道具

  • ホットプレート
  • ハサミ
  • カッター
  • ストロー
  • 熱に強い手袋
  • ヘラ

手順

マスキング


プラスチックシートをマスキングテープでマスキングします.

貼る


プラスチックシートをマスキングした後,そのプラスチックシートと型の描かれた紙を両面テープで貼ります.マスキングした面が上(粘着しない面)になるようにします.

内側の線に沿って切る

型紙の内側の線に沿って,カッターでマスキングテープに切り込みを入れます(まだ剥がしません).

外側の線に沿って切る

型紙の外側の線に沿って,はさみでプラスチックシートを切ります.

剥がす


型紙を剥いだのち,外縁側のマスキングシートを剥がします.

もう片方のプラスチックシート作成


型紙の上にもう一つ用意したプラスチックシートを貼り,型紙の外側の線に沿ってプラスチックシートを切ります(先程とちがい,マスキングシートは使いません).

温め準備


プラスチックシートがホットプレート上にくっつくのを防ぐため,マスキングテープをホットプレート上に貼ります.その後,ホットプレートを180度まで温めてください.

温め


ホットプレートが十分に温まったら.熱に強い手袋を着用して作業を開始します.マスキングされた面が内側になるようにプラスチックシートを重ね,その隙間にストローを差し込みます.これを,ヘラで押さえながらホットプレート上で温めましょう. 両面温めるようにしてください.

吹き込む


ストローから空気を吹き込み,膨らめます.

冷やす

温度が下がり,冷めることで,プラスチック風船は十分に硬くなります.

再利用

元々の形に戻したいときは,また温めまて空気を抜きます.

色々試してみよう!

型紙のデザインを変えることで,色々な形が作れます.

 

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膨らんで曲がるシリコンアクチュエータ

空気で動く,シリコン製の折れ曲がるアクチュエータを作ってみましょう!シリコンを流し込む型は3Dプリンターで作成します.

Video

準備時間: 50 分
作業時間: 60 分

材料

道具

  • 3D Printer
  • キッチンスケール

 

手順

設計

3D CADのソフトなどを用いて,設計します.

3Dプリンティング

STL ファイルにしたデータを3Dプリンターで印刷します.

Download STL file here : Silicone_Bending_Actuator_STLdata

型の印刷

アクチュエータを作成するのに必要な型は3つです.使っている3D Printerの規格に基づいて全て印刷してください.

混ぜる

EcoflexのA液とB液を正確に同じ量だけ入れたのち,混ぜ棒でよく混ぜます.

この工程に関しては,こちらの記事も参考にしてください (silicone mold recipe).

注ぐ

型にシリコンを流し込みます.

再び混ぜる

シリコンが固まったら、型から取り出しておきます.シリコン用のボンドもありますが、今回はシリコンで繋げます.

シリコンを混ぜる工程を同じく繰り返していきます.

取り付ける

作ったシリコンの表面同士を組み合わせます.

膨らませる

つなぎ目も固まってきたら、空気ポンプとのつなぎ目をしっかりと抑えて、空気を送り込んでシリコンアクチュエータを膨らませてみます.綺麗に曲がりますか?

 

 

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Other Recipes

レーザーカッターでモールド作り

レーザーカッターを用いてモールド(アクリル製の型)を作ってみましょう.

Video

準備時間: 30 分
作業時間: 1 時間

材料

  • アクリルシート(厚さ 2mm, 4mm, 5mm)
  • アクリル接着剤
  • 瞬間接着剤用の瓶とニードル

道具

  • レーザーカッター

 

手順

デザイン

モールド(アクリルシート)のデザインします.

加工

レーザーカッターを用いて,アクリルシートの加工を行います.加工後のアクリルシートを取り出します.

接着剤の準備

数種類の型となるアクリルシートが完成しました.今回の例では,2つのアクリルシートのセットを作ります.(Set 1 : A+C+E+F, Set 2 : B+D)

アクリル接着剤

アクリル接着剤を,瞬間接着剤用のニードルに移します.

セット1の組み立て(E+C)

part Eを Part Cの上に乗せてアクリルシートの位置を合わせます.

接着

隙間に流し込むように,ニードルを用いて接着剤を塗布します.

セット1の組み立て(E+C+A)

PartAの上に今のPartCとEを合わせたものを乗せます.接着剤を塗布します.

Set 1 (part E + C + A + F)

空気の流れ道となるpartFを乗せます.ウサギの口元あたりに当たるように位置を合わせます.接着剤を塗布します.これで、モールドのセットが完成しました.

Set 2 (part D + B)

もう一つのセットはPartBの上にPartDを乗せて接着剤を塗布します.

接着

これでもう一つのセットも完成です!

出来上がり

これでモールドの完成です!Silicone Bending Actuatorのレシピを参考にしながら膨らむウサギを作って見ましょう.

Downloadable Data

  • Design of cutting pattern (t means thickness of acrylic sheet) : 20171110_rabbit

Other recipes

シリコンラバー成形

混ぜる,鋳造する,硬化させるといった,シリコンラバーの注型成形における基本的な行程のチュートリアルとなっております.これらは,シリコンを用いたソフトロボティクスを始める上で,まず身につけなければならない技術となります.

Video

準備時間: 20 分
作業時間: 1 時間

材料と道具

道具

  • シリコン製ではない型
  • キッチンスケール
  • (作業時間を短くしたいなら)オーブン

手順

型に流すシリコンの量を調べる

まず型に流すシリコンの量を調べます.水を型に流しいれてから再び取り出し,その重さを量りましょう.計測した重さはほぼ,必要なシリコンの重さと一緒です.計量カップには,この重さのあと10%~20%を追加して入れます.

量る

必要とする半分の重さだけ,EcoflexのA液ををカップにゆっくり注ぎます(見本では40 gの半分を使用). 次に,同じ重さだけEcoflexのB液をカップに注ぎます.もしB液を入れ過ぎてしまったら,B液と同じ重さになるようにA液を足してください.

混ぜる


使い捨ての混ぜ棒を用いて,1分ほど液を掻き混ぜます.泡を立てないようにゆっくり混ぜてください.満遍なく混ざるように,カップの壁面や底部も掻きながら混ぜます.

注ぐ

シリコンを成型する型には, ポリプロピレン(PP),ポリエスチレン(PE),ポリエチレンテレフタラート(PET)といったシリコン製でないものを使用します.成型後のシリコンが型とくっついてしまうのを防ぐためです.こぼれたシリコンはペーパータオルなどで拭き取りましょう.

空気が抜けるように放置


空気が抜けるように5~10分ほど放置してください.真空ポンプなどを使用する必要はありません.(Ecoflexの粘度が,そこまで大きくないため).

焼く


シリコンを早く固めるため,オーブンを使用します.温度を60°C (140°F)に設定し,20~30分ほど焼きます.オーブンを使用しない場合は,4時間ほど常温で放置しましょう.

取り出す


型から固まったシリコンを取り出します.はみ出し部分が残るときは,はさみなどで切ります.

Bon Appétit! (食べられないので注意してください)

 

 

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